ー…
………


『可愛いなって』


一臣君に言われた言葉を一人ポーッとしながら思い出していると、


「香澄!聞いてる?」

「……え?」


みっちゃんに名前を呼ばれた。

慌てて思考を戻して、みっちゃんに視線を向けると、みっちゃんが『もう!』と言った後に苦笑した。


「また、昨日の事思い出してるの?」

「う、うん」


照れながら頷いたあたしにみっちゃんが口元を緩める。


「楽しかった?」

「うん、楽しかった」


またまたコクンと頷いてからあたしはまた一臣君の事を考え始める。

ー…あっと言う間だった。

一臣君との学園祭巡りは。

楽しくて嬉しくて凄くドキドキして。

あの時間がずっと続けばいいのに、なんて思ったけれど、気付けばもう一日経ってしまっている。


「今朝は?」

「メールしたよ」


昨日は来てくれてありがとう、って。

そうしたら、


『俺が行きたかったんだから礼はいらない。
今日は行けないけど、夜にでも色々聞かせて』


って返事が帰って来た。

それだけで嬉しくて、朝からニコニコしちゃった。