「絶対取る」
小さく呟いた一臣君が弓を構える。
玩具の弓でも様になる一臣君にほぅーっと溜め息を吐いてしまうと、一臣君が弓を射た。
玩具の弓は真っ直ぐにうさぎの元へ向かう。
もしかして一発で一臣君は取ってくれちゃうのかなぁ?
矢の行く先をジッと見ていると、
カツン!
と音がして矢がうさぎには当たらず下に落ちてしまった。
何が起きたのかよく理解出来ないあたしの隣で一臣君が翔君を睨みつける。
「翔!」
「だって一発で取れたらつまんないでしょ」
「つまんなくねーよ…」
にっこりと笑顔を浮かべる翔君に一臣君が脱力する。
どうやら一臣君の矢と翔君の矢がぶつかっちゃって落ちたらしい。
しかも、翔君の言葉を聞いていると、まるでわざとぶつけたみたいな言い方で。
「翔君、そんな凄い事出来るの!?」
飛んでるものをこの短距離で落とすなんて…!
普通、いや普通じゃなくても出来ないよ!
驚くあたしに翔君は『違うよ』と首を振る。
「たまたまだよ、たまたま」
フフフ、と笑う翔君にたまたまじゃなくて絶対に狙ってやったんだと分かってしまった。
「怒んないでね、一臣」
「怒ってねーけど、止めろ」
「うん。もう矢は無いから大丈夫。花音の欲しいのも取れたし」
はい、花音。景品。
と言って翔君が花音ちゃんに景品を渡した。

