他校の君。【完】



Side 一臣


「じゃ、明日な」

『うん』


おやすみなさい。と恥ずかし気に言った香澄が今、どんな表情をしているのか何となく想像がつく。


(くっそー)


マジで可愛いな、と片手で顔を抑えて香澄の事を考えながらも


(…けど、聞けなかったな…)


聞きたい事を聞けなかった自分に呆れる。


『海谷、そこにいんの?』


何で俺はそれを聞けねーんだよ。

軽く聞けばいい筈なのに。

けど、聞いて『いるよ?』って言われたら、続きをどう言えばいいのか分かんなくなるし…。

いなかったらいなかったで『なんで雪の事聞くの?』って香澄は思うかもしんねーし。


「………。情けねーな…」


余裕が無さ過ぎる。

余裕の無い男って嫌がられるんじゃねぇ?


(…余裕、持たねーとな)


溜め息を吐きそうになったと同時に、


『???何が情けないの?』


聞こえた香澄の声。


「………は?」


幻聴か?と思ったけど、


『え?』


また声が聞こえる。

何で声が聞こえるのかと、一瞬疑問に思ったけど、


(…もしかして)


ある事に思い当たり携帯にむかって


「香澄」


名前を呼んでみると、


『う、うん?』


予想していた通り、返って来た返事。





ー…電話、切れてなかったのか。