出来ないあたしに一臣君は愉しそうに笑う。
これでもし出来たら、一臣君を驚かせる事が出来るかもしれない。
からかわれてばかりだから、たまには仕返しみたいに出来るかもしれない。
ほんの少しそう思ったけど、あたしにそんな事が出来る筈も無い。
「じゃあ、明日」
「…え」
「早速迎えに来るから」
「…え?」
明日、早速?
驚くあたしの頭に一臣君が手を置いて撫でる。
「………ダメ?」
「………っ」
伺うように覗き込まれたあたしはダメじゃないと勢いよく首を振る。
「そっか。じゃあ何時ぐらいに着くかまた後で」
「うん!」
今度はコクコクと頷くと、一臣君がニッコリと笑ってからあたしから離れた。
そして、『じゃあな』と軽く手を上げてから一臣君は自分の家の方向に向かって歩き出す。
そんな一臣君に照れながら手を振って、あたしは一臣君を見送った。

