Side 香澄
「ヤバいな」
またボソリと一臣君が呟く。
ヤバいって何だろう。
それに、さっきから一臣君が変。
雪の事ばかり聞いてくるかと思えば、友達は無理って。
「なあ、香澄」
「???」
一臣君に呼ばれて、花火から一臣君の方へ向く。
「もし、俺が」
「うん?」
俺が?
「…香澄の事好きだって言ったらどうする?」
「……!!」
な、なんて事言うんだろう、この人は。
またあたしをドキドキさせていじわるするの?
「騙されないもん」
「いや、騙すとかじゃなくて」
「分かってるよ?」
だから、もう引っかからないってば。
それに、一臣君は千尋君の彼女さんが好きなんだよね?
凄く悲しいけど、もう分かってるんだよ?
「………」
そろり、と視線を逸らされて、やっぱりなぁなんて思う。
「あんまりいじわるしないでね」
そう言うと、一臣君が残念そうに溜め息を吐いた。
あたしが騙されなかったのがそんなに残念だったのかなぁ?