他校の君。【完】




「千尋の心、狭いもんね」

「おい、みちる」

「ミニマム心」

「ミニマムは、ちびっこみちるの身長だろ」

「…な!今なんて言ったの!?」

「ちびっこ」

「ムーカーつーくー!」


怒る彼女さんを見下ろす千尋君の瞳が凄く楽しそうで、いじわるだなぁなんて思ったけど、優しさも混じってる事に気付いてしまい、思わず頬を染めてしまう。


(千尋君、彼女さんにはこんな感じなんだ…?)


二人の会話や雰囲気に勝手に照れるあたしの隣から、


「…イチャつかれても何とも思わねぇ…」


驚いたような小さな声が聞こえて、あたしは一臣君を見上げる。

何とも思わないってそりゃあ…、


(あ、でもあたし照れちゃってるしなぁ)


そこまで考えてから、気付く。

何とも思わないぐらいで普通驚かないよね。

じゃあ、何で?

考えていると


『ん?一臣の好きな人』


武君の言葉が脳裏に蘇る。

あたしが悲しくなった原因。

千尋君の彼女さんと一臣君を何となく交互に見てから


「………!」


また気付いてしまった。

ま、まさか。

一臣の好きな人って…。