天海の制服着た…?

雪に聞かれて、視線をさ迷わせると、ちょうど帰って来ていたらしいお兄ちゃんが雪がドアを開けっ放しにしたあたしの部屋の前を通った。

因みに、今あたしと目があったお兄ちゃんの制服は、天海。


「お兄ち「あいつ誰」」


お兄ちゃんも天海の制服来た男の子だよ、と言おうとしたらお兄ちゃんじゃない、と言う視線を向けて来た雪。

そして、誰なのか言えとばかりに顔がさらに近くなったから、離れようとしたんだけど、雪に肩を掴まれているから限界がある。


「お兄ちゃん、助けてっ」


雪がちょっと怖い。


「じゃれあいを邪魔するつもりは「お兄ちゃん!」


もう一回呼ぶと、仕方ないな、と溜め息を吐いてあたしの部屋に入って来て、あたしから雪を引っぺがしてくれた。


「ちょっ、拓海!邪魔すんな!」

「香澄が嫌がってるんだから、止めろって」


首の後ろの方の服を掴まれて、バタバタと暴れる雪をお兄ちゃんがたしなめてくれる。


「嫌がってなんか」

「嫌がってるから。ってかそんな風に迫ったら怯えられて嫌われるぞ」

「………!」


何故か暴れるのを一瞬で止めた雪に不思議に思いながら首を傾げると、雪が拗ねたような表情を浮かべた。


「…だって、アイツ…、誰なんだよ…。何二人で帰って来てんの。俺が誘った時は先約あるって…」


言ってただろ、と雪はさらに拗ねてしまった。