一臣君を見上げながら、取り敢えず了承すると、一臣君は助かったとばかりに溜め息を吐いた。


「…よかった」


さっき武からメール来ててどうしようかと思った。

そう言った一臣君にどう言うメールだったのかと不思議に思うと同時に、また残念に思う。


(……なんだ)


二人きりじゃないのかぁ。

そりゃあ、そうだよね。

そんな都合のいい話、無いよね。


「そういや、香澄のアド聞いてなかったな。携帯ある?」

「………!」


あ、ありますとも!!

残念に思っていた気持ちが急上昇。


「あるよ?」

「じゃあ赤外線。送るから」

「う、うんっ」


慌ててポケットから携帯を取り出し、受信画面に設定すると、

一瞬で届いた一臣君のデータ。

アドレス帳を開き、ちゃんと登録されているか確認すると、

『杉沢一臣』

ちゃんと登録されている。

しかも、文字が輝いて見える。


(…あ、もしかしたら)


誕生日とか一瞬に送られて来てないかなぁ?


少し期待して一臣君の所を開くと、


(……あぁ…。無い…)


一臣君はどうやら名前とアドと番号以外はオーナー登録してないらしかった。


まぁ、あたしも同じだけれど。