(追手って……どっちの?
盗賊さん達の?……それともあたし?)




クレアの脳裏に疑問が浮かんだが、張り詰めた様子に声をかけることを躊躇したまま、クレアはクレアで足場の悪く大きく揺れる馬の上で、ジキルに掴まるのが精一杯だった。





そして、
その疑問にも間もなく答えが出た。







ザッ


ザザッ




後に続くラッドの乗る馬の後ろ、草木に紛れ、――何か――が見え隠れする。


人程の大きさながら明らかに人を越えたスピードで、よく辺りを見ると、それがジキル達の馬を取り囲むようにあちこちにチラホラと見えた。






クレアは目を疑った。


―――とても人間には見えない


(ジキルの見たあたしもあんな感じだったのだろうか……?)




しかも、それらはクレアの見た覚えのある―――リドル家の屋敷の使用人の服装で、今にも飛びかかろうと様子を疑っている。





――サイファが追ってきた――



クレアは無意識にジキルに掴まる手に力を入れた。