その日、夕方から降りだした雨は夜中を過ぎても一向に止む気配がなかった。


クレアは心配したが、ジキル達、盗賊はこれ幸いと街へ繰り出した。




夜半過ぎまで何となく寝ずに起きていたクレアも、毎夜の習慣に勝てず、うつらうつらと眠ってしまった。
今日も朝早くに起きて盗賊達の食事を作るのだ。





しかし、クレアが起きたのはまだ夜も更けぬ宵闇のさなか。

正確には体を大きく揺さぶられ無理やり起こされた。



「クレア……!クレア、起きろ!」





遠慮のない声に目を覚ましたクレアは、



カッ



窓の外からの青白い光りで自分を目覚めさせた人物をとらえた。


ずぶ濡れのジキルが毛布にくるまる自分を激しく揺さぶる。




ただならぬ様子に「きゃっ」と小さく驚くクレアの悲鳴を、落雷の地響きがかき消した。