不安定で人の道を背いた仕事にも関わらず、ジキルの反応は正常で、しばらく安穏とはかけ離れた生活を強いられていたクレアに安心を与えた。





(こういった生活も楽しいのかもしれない……)


(シアンがいなければ、あたしには他に行くところなんてないのだし……。)



ただ、





「ジキル……答えは、シアンの安否が分かるまで待ってもらえますか?」



クレアは楽しそうにしながらもスッと真顔になった。



ジキルを悪く思っていなくとも、今答えを出すことは失礼な気がしたからだ。


ジキルとシアン、双方に。





ジキルは察したのか、部下を殴りながらも神妙な顔で、



「ああ、かまわねぇよ」



答えた。



部下達はなんだかんだとからかいつつも、上手くいくことを願っていたようで、

答えを先延ばしにされ、肩透かしをくらったような、それでいて期待感を膨らませるような、なんともいえない空気が男だらけの部屋に漂った。






そんな浮き足だった雰囲気は、偵察に出向いたジキルの子分が戻ってくるまで、山小屋に流れていた。