どうやって元いた村に帰ろうかと思い巡らせ、またシアンの事を思い出し泣きながら明け方に眠りについたクレアは、眩しい光に目を覚ました。


「おはようございます」


昨日見た覚えのある召し使いの女がカーテンを開けていた。



そして同じく見覚えのあるもう一人の女が朝食を乗せた台をベッドの横へ押してきた。


「どうぞ」


赤い液体の入ったグラスがクレアの前に差し出される。



「けっこうです!」


(なんだろう?)
フルーツジュースにしては色が濃い。
思いながらクレアはそっぽを向いた。



「……しかし、これをお召しになりませんと……」


召し使いの女は明らかに動揺している。
拒否されるとは思わなかったようだ。