キョウアイ―狂愛―





「どうして……!?」



思わず身体を起こし、声をあらげた。


何度見てもそれはクレアに違いなかった。

辛そうに眉をしかめ、手に銃を握りしめていた。





(ああ……そうか)


それを見て、サイファは納得した。





「僕の息の根を止めに来たんだね」




そんな事をしなくても、地獄へ落ちる準備は万端だったというのに……。




「早く撃て」



早く用を済ませて逃げろ。
今ならまだ間に合うかも知れない。



サイファは再び瓦礫の上に頭を倒した。




しかし、銃はクレアの手から瓦礫の上にすべり落ちた。





「弾丸が……足りない。一つしか残っていない」



クレアは石の間に挟まった銃を見下ろしたままそう呟いた。






(弾丸は二つあったはずだ……?)

おかしな事を言う、とサイファは不思議に思った。





「一つ残っていれば十分だ。……僕は逃げたりしない」



早く僕の頭を撃ち抜いてここから離れろよ。


サイファの焦り虚しくクレアは銃を拾おうともしない。




「足りないのは……自分用の弾だ」



「何を言って……!」



サイファが再びクレアをみやると、

先程は銃にいっていた視線が、クレアの下腹部に定まる。



そこには


ベージュのドレスに紅い花が咲いているように、血が染みていた。