サイファの去った部屋でクレアは一人ベットに伏して打ちひしがれていた。
夢じゃなかった――…
シアンはあの悪魔のような残虐な男に斬られて置き去りに……
悪魔は何故かあたしを憎悪している。
でもあたしはあんな男、知らないのに。
泣きながらぼんやりした頭で考えても思考はまとまらない。
ギィ
大きな扉が開いてハッと振り返るクレアの濡れた瞳に一人の黒髪の少女が映った。
少女はクレアのベッドの前まで来ると、
「はじめまして。クレア様。わたくし、サイファ様の御付きのフォン・マイメイと申します。以後、お見知り置きを。」
にっこりと優しい笑みを浮かべ挨拶した。
そして黙っているクレアの血で汚れた腕をそっととる。
「ああ。傷はもう治ってらっしゃいますね。湯殿へ案内させますので汚れは湯浴みして流してください。」
そう。
サイファに裂かれた箇所は血は周りに残っているものの傷口はきれいにふさがっていた。


