「殺す……?」
首を傾げるサイファ。
いかにも不思議そうに。
「僕を殺したのは君じゃないか?」
言ったサイファの口から笑いが漏れる。
「それでも足りないくらい俺が嫌いだったんだろう?クレア」
言葉を切ったサイファの顔に笑みは浮かんでおらず。
次の瞬間、尖った爪がクレアの腕の皮膚を裂いた。
「キャアアアーー!!!」
損傷はそれほど酷くはなかったが血が飛び散った。
(怖い!痛い!)
恐怖でパニックを起こし叫ぶクレアをベッドに突飛ばしサイファは部屋を後にした。
「そんな傷はすぐに治る。その体は殺したって死にはしないほど頑丈にできているのだから」
腕を押さえ怯えるクレアに冷たく言い放って……。
―――俺がお前に受けた痛みはこんなものじゃないんだ
回廊を歩きながらサイファは指先に付着した血を舌ですくった。


