キョウアイ―狂愛―








「貴様だろう?
グリーンリーフの人間を喰らったのは」


サイファが確信めいた様でシアンと呼んだ化け物を見据えた。




元は人間だったはずの男は、クレアと暮らす内にヴァンパイアの身体の秘密を知ったのだろう。


サイファが切った時のシアンは人の外見は保っていたものの、既に人外の者となっていたに違いない。



クレアは三十年の経過を気付いていなかったのだから、不思議に感じなかったのだろうが、あの時のシアンはどう見ても四十過ぎには見えなかった。



クレアと並んで違和感のない二十代の青年に見えた。




「醜い無様な化け物め……。
人間風情が我らの身体に近づけると思ったか?」





シアンと呼ばれた化け物は、そう言い自分に剣を振るうサイファなどまるで眼中になかった。





―――ヤットココマデ来タンダ


求めるものはこの敷地内にあるのに……。



目の前にいるのは自分を切った男。

貴様に切られた傷が疼く。



どこだ?



「クレア……クレア……」



……早く、あの甘く、渇きを癒す……






「血――血ガ……欲シイ」




グリーンリーフの村人、ここに着くまでに襲った人間ども……


所詮、奴らの血ではこの傷は癒えない。




このリドル家で

永きに渡り受け継がれた純血を


愛しいお前の血を



貪リタイ……!