「クレアを守れ」
マイメイにそう告げると、サイファは剣を持ち静かに階下に降りた。
回廊に立ちゆっくりと剣の鞘に手をかける。
目の前に広がる無垢な白い花。
自分に振り向きはしない最愛の者の為に植えた。
―――全てが虚しい
哀しみは怒りに変わる。
怒りはこの剣に……
遠くから争い合うような音が近づいて来ると、何故か笑いが込み上げてきた。
侵入者が荒々しく中庭の入り口に足を踏み入れた時、
足を引きずりながらも屋敷の者を振り払い、なぎ倒し、その後ろには血の道しるべが出来ていた。
それを見て、サイファは満足そうな笑みを浮かべ、下唇を一舐めした。
「そろそろ来る頃だと思っていた」
サイファの言葉に侵入者は荒い息を返す。
「返…セ……!俺ノ……」
顔は獣のようで、
サイファの1,5倍はあろうかという程の大きな体には、肩から胸にかけて切られたような傷がある。
「俺ノ……クレア!」
「返せだと……?図々しい。
俺から彼女を奪った略奪者は、貴様の方じゃないか!!
……シアン=ザハトル!」


