「僕は以前、君に酷いことをしたから…………」
サイファの瞳にはありありと後悔の色が浮かぶ。
「これでも自粛していたんだ」
(あたしにした事に対しては反省しているんだ……)
サイファは決して謝ったりしないだろうと決めつけていたクレアには意外だった。
「……あたし……本当は、とってもとっても傷ついたのよ……?」
ずっと忘れたふりをしていた。
でないと、サイファの側で笑ったり出来るはずがない。
でも、今なら愚痴ってもいいような気がした。
張り詰めていた以前と違って、こんなにも二人の距離は近くて、サイファは優しい。
抑え込んでいた過去の痛みと共にクレアの目頭には、じわり、と熱い涙が浮かんだ。
「クレア……」
サイファにかき抱かれクレアの目から涙が零れ落ちる。
「僕が悪かったよ…………。
君を手に入れたい一心で……」
「ずっと、誰よりも何よりも、大切にしたいと思ったのは…………君なのに……、君だけなのに」
こんな日がくるとは思わなかった。
サイファが自分以上に傷ついた様子で悔いている。
クレアはあの日の自分が解放されたような気になった。


