「……クレア」
名を呼ばれクレアがハッと我に返ると、
サイファの首に牙を突き立て、血をすする自分がいた。
頭がぼんやりして一瞬前後が思い出せない。
「まだ君にあげたいけれど、そろそろ僕の血液量の限界だ」
言いながらゆっくりと離れる。
まだ半分夢見心地のクレアは、惜しむようにサイファの首元に流れるそれを、ねっとりと舐め取った。
鉄の味などしない。
甘く芳しい赤い蜜。
口に残るそれを味わいながら離れたサイファを見ると、白いシャツにべっとりと赤い染みが広がっていた。
首元の広い範囲も血で汚れ、
クレアは自分の手際の悪さを恥じた。
「ごめんなさい……」
手で首元を探り確認しているサイファに小さな声で謝ると、怒るどころか、
「たくさん飲んだね。……安心したよ」
柔らかな微笑みで頭を撫でられる。
そして、
「ねぇクレア……」
しばらくクレアの頭を撫でながら、ベッドで向かい合っていたサイファはゆっくりと口を開いた。
クレアが見上げると緊張を含んだ艶かしい瞳で、自分を見つめるサイファと目が合った。
「僕も欲しいんだけど…………」
血ではなく。
「……君が」
血に濡れたヴァンパイアの瞳がきらめいた。


