サイファの本質は何も変わってはいないのかもしれない。
クレアは思った。
ここしばらくサイファの優しさにしか触れていなかったが、それは全て自分に向けられたもの。
他者に対する態度には常に悪魔の本質が見え隠れする。
それでもサイファの自分に注ぐ愛の深さに触れるたび、その心を無下には出来ないような気がしてくる。
側にいるのは復讐の為のはずだったのに、それも遂げられぬまま、次第に心を開いてゆく自分に焦りを感じていた。
マイメイをはじめ、盗賊の仇である使用人達も、許せないはずなのに、
それでも親しくしている内に、情は芽生えていく。
全てはまやかしのはずだったのに……!
クレアは頻繁に誰もいない夜の寝室で、銃から銀の弾を取り出しては決意を忘れぬよう握りしめた。
しかし、
屋敷での暮らしが長くなる程に、
サイファが優しくなる程に、
クレアの悩みは深く広がっていった。
そして、
食事も満足に取れない日が続いたある日、
サイファと庭を散歩している途中、クレアは倒れてしまった。


