キョウアイ―狂愛―





するとサイファは再びリビドーに向き直り、



「解雇がいいか?……それとも名実ともにここで首を切ろうか?
僕は、どちらでも構わない」




笑みを浮かべたが、猫が鼠をいたぶるような残酷さがありありと浮かぶ。





リビドーは、サイファの様子に酌量の余地はないと、断念したかのように項垂れた。




「……国に……帰ります。お気に障る真似をして申し訳ありません」



それを見たサイファは満足げに頷いた。



「賢明な判断だ。僕もできれば同族は切りたくはない」




リビドーが失意の表情で部屋を去り、割れた花瓶と散った花の片付けられた部屋で、サイファは再び椅子に腰を降ろした。




「食事……冷めてしまったね」


立ったままのクレアに笑いかける。





クレアは黙ってサイファを見つめた。

嫌な気分だ。
何事もなかったかのように笑うサイファ。

しかし、きっと脅しは本気だ。


サイファは迷わず切っていた。
自分と少し親しく話しただけのリビドーを。



「リビドーは……真面目に仕事をしていたのよ?」



哀れな庭師の為、もう一度訴えてみたが、





「僕は……これでも、抑えている」



低い一言が返ってきた。




「君は、……僕とだけ話して、僕だけを見ていればいいんだ」



ゾクリと狂気を感じるサイファの瞳に、クレアはそれ以上何も言えず、

次々と新しいものに取り替えられていくテーブルの料理を眺めていた。