「お前のような純粋な幼子がのぅ……」
大おばはたいそう悔やんでいたが、マイメイはむしろ誇らしかった。
サイファに選ばれた事が。
サイファに奉仕できる事が。
一目サイファを見た瞬間に、心を奪われてしまったマイメイにとって、サイファの側に付けるということはこの上ない喜びだった。
リドル家へ入ったマイメイは、当主であるサイファに忠誠を誓い、誰よりも献身的に仕えた。
そしてまだ吸血種の内では幼年の部類に入る年で在りながら、若干二十で屋敷の全てを任される迄となった。
サイファに限りない忠誠を誓い、リドル家の行く末を誰より案じながらも、マイメイは、
ラフランディの教えを時たま思い出すのであった。
自分が入る前に起きた火事によりリドル家の過半数のヴァンパイアは焼死した。
その多くは年のいったリドルの歴史を知る者達。
残されたリドルに仕える者達は、自分を含め、大火事の真相もリドル家の過去も詳しくは知らない。
僅かに火事から免れた文書、口伝えにて学んだのみ。
ラフランディのような古くからリドル家に仕える、大火事の経験者は滅多にいない。
「マイメイ、口うるさく感じるやもしれん。じゃが……」
「掟は厳しく、時に残酷な決断を強いられる事もあろうが、我らか弱き異形が繁栄してきたのは、掟を重んじてきたからなのじゃ」
「私の言った事を胸に留めておいておくれ」


