みんなブツブツ、少女は退屈でお腹が空いて座り込む日がよくありましたが青年だけは気にかけてくれました。


青年は手招きをすると森に入りました。


ふたりだけの隠れ家、大きな木の下にしゃがんで内緒の約束を今日もします。



「村の人には内緒だからな」

そういって青年は服の中から隠していたパンを少女にあげるのです。


このところ、村人は土を食べ木の皮を食べる者も出てきました。


村は人間ごと腐ったような集落になっていました。

海側の連中は助けてはくれない、むしろ蔑み笑いの種、物乞いをすれば恥とともに命を蹴飛ばされるしまつ。


彼らからすればこの村はただのごみ溜めのようです。

不運にも戦火が、不運にも海辺近くの街から汚染を、立て直す道もなければ差し伸べる細い手すらないのです。