「あいつらが…憎い……にくい……ニクイ……」



ブツブツといつまでも続く呪いを大人が呟きます。


少女はまだ幼かったので、わかりません。


そんな感情も成長するなかで向けられたことも向けたこともなかったから…。











村は丘の上にありました。

高い場所は遠くの海までそれはそれはよくみえましたが、年月が経つにつれて見えずらくなりました。











少女は村人の青年に問いかけます。

なんで?


「海側の連中が海を汚して土を殺してるんだ、そして空気も汚されてる……僕らもね」



そういって青年が帽子を深く被りました。


かなしそうに


くやしそうに





だけど少女はよくわかりませんでした。


海側の連中―、海辺近くの街の住人もこの村と変わりないと思っていたからです。


そして青年のどろどろした瞳の灯り火さえ、純粋な、だけどもどこか無知な少女には理解ができないのです。