隣の先輩


 話って先輩が私にってことだよね。


 「はい」といえなかったので、何度もうなずいていた。顔が熱い。多分、すごく真っ赤になっていたんだろうなって思う。


 客間に戻ると、和葉さんを呼んだ。



「先輩が帰ってきたって。携帯の電池が切れていたみたいです」


「そうなんだ。本当にご迷惑をおかけしました」


 和葉さんは頭をぺこりと下げる。

「いいえ」


 平然を振舞って応答していたが、頭の中では先輩から言われた話のことでいっぱいになっていた。


 彼女はもう一度、頭をさげると玄関まで行く。私もそこまで送ることにした。


 和葉さんは笑顔を浮かべると、先輩と話をしていた。


 先輩の顔がどこか赤くなっているような気がした。


 先輩は和葉さんに鍵を渡していた。先に和葉さんがありがとうと言うと、家を出て行く。