「先輩? 今、開けますから」
私は和葉さんにそのことを言うのを忘れ、玄関まで行く。
扉を開けると、確かに先輩が立っていた。
「あ、お母さんなら今、中に」
「お母さん?」
そのことで来たんじゃないかと思っていたが、先輩は怪訝そうな顔をしていた。
「携帯が切れていてつながらないと言っていたから」
その言葉に、西原先輩は何か気づいたような顔をしていた。
「そういえば、電池が切れていたんだよな。中にいるのか?」
「はい。呼んできますね」
戻ろうとした手を突然つかまれた。
「後で話があるんだけど、いい?」



