隣の先輩


「気にしないでください。たいしたことはしていないですから」


 ただ、家にあげてタオルを貸しただけなのだ。


「いいのよ。ちょっと多めに買ってきて困っていたから」


 そう言うと、また笑っていた。


 なんか私より随分年上なんだろうけど、素直に素敵な人だと思える人だった。


 先輩はこういう人に育てられたんだろうか。


 そうなると、女の人を見る目とか厳しかったりとかするのかな。


 和葉さんのコーヒーがなくなり、私がお代わりのことを尋ねようとしたとき、チャイムが鳴る。


 私は和葉さんに声をかけると、インターフォンで応答した。


「西原といいますが、真由さんはいらっしゃいますか?」