隣の先輩

「いいですよ。そんな悪いです」


 彼女はそう言うと柔らかい笑みを浮かべていた。


 その雰囲気は少し咲に似ているなと思っていた。


「でも、風邪を引いたら大変ですから」


 私が困っているのに気づいたのだろう。


 彼女はまた笑っていた。


「じゃ、お言葉に甘えさせていただこうかしら」


 彼女があっさりと受け入れてくれたことにほっと胸を撫で下ろしていた。


 今日は母親が出かけていて、誰もいない。私は新しいタオルを出してくると、和葉さんに渡していた。


 彼女はありがとうというと、洋服と髪についた雨を拭っていた。


 コーヒーを作ると、彼女に差し出す。彼女はコーヒーカップを唇に軽くつけていた。


 ガラス張りになったテーブルの上においてあるお皿の上に、コーヒーカップが置かれる。