隣の先輩

 すぐにその綺麗な髪の毛が揺れる。彼女は肩を震わせて笑っていたのだ。


「そんなことはじめて言われたわ。ありがとう。私は西原稜の母親です」

「お母さん?」


 とっさのことに驚いて彼女を見ていた。


 彼女は、そうだというように笑顔を浮かべていた。


 そのとき、和葉さんがくしゃみをしていた。


 彼女の肩や髪の毛が濡れているのに今更気づく。


 先輩のお母さんといえど、初対面の人にこんなことを言うのは失礼かもしれないと思ったけど、

濡れているのをみて、ほうっておくことができなかった。


「もしよかったら、家にあがりませんか? タオルくらいはお貸しできると思いますので」