隣の先輩

 私はそんな二人の後ろを歩いていた。


 時折、依田先輩が話しかけてきたが、西原先輩もその会話の中にいたこともあって、うまく話をすることができなくなっていた。

 休み時間に廊下に出ようとすると、西原先輩の姿を見つけ、思わず、ドアの影に隠れていた。


 先輩はクラスメイトなのか女の人と親しそうに話している。


 そのときの表情は依田先輩と話しているときの彼の姿に似ていた。


 きっと彼は誰に対してもそんな感じで話をするのだろう。




 昼休み、プリントを出しに職員室に行った帰りに後ろから声をかけられた。


 振り返ると、依田先輩の姿があった。



「偶然見かけたから」


 そう言うと、目を細めて屈託なく笑う。


「君は、稜のことが好きなわけ?」


 思わずその言葉に咳き込んでいた。