隣の先輩

 ポストまで行くと、もう新聞が配達されている。


 私は西原先輩の手に握られている新聞を見て、思わず笑顔になる。

 同じ新聞社の新聞を読んでいるということに気づいたからだ。


 たいしたことはないんだけど、そんなことでも嬉しかった。


 そして、降りてきたエレベーターに乗ると、五階に戻る。


 それぞれの家の中に戻ろうとしたときだった。


「安岡さん」


 その言葉に振り返る。


「よかったら一緒に学校に行かない?」


「行きます」


 思いがけない言葉にどきどきしていた。