隣の先輩

 ついてないな、と思ったとき、先輩の声が聞こえた。
「確かにそうだよね。俺も同じ」


 先輩が着ていたのは動きやすそうなグレーのスウェット。


 地味な色だけど、そんなことを感じさせないくらい似合っていた。彼はどんなものを着ても似合うんだろう。


「先輩はいつもこんなに早いんですか?」


「その分、夜眠るのが早いけどね」


「何時ごろなんですか?」


「十二時頃」


「全然早くないじゃないですか。私より遅い」


「一応受験生だから」


 そのとき、エレベーターの扉が開く。


 先輩がボタンを押してくれたので、私が先に出ることになった。