隣の先輩

 甲高い足音の聞こえてくる感覚が狭まり、西原先輩が入ってくる。


「ごめん。ありがとう」


 短い距離を走ったからだろう。少しだけ先輩の呼吸が乱れていた。


 「閉」のボタンを押すと、ドアが閉まり、エレベーターが動き出す。


 先輩の視線が私に向けられていた。


「今から学校に行くわけないよね?」


 私が制服を着ていたからだろう。


 変な顔をして私の顔を覗き込むように見ていた。


「新聞でも取りに行こうと思って。どうせ洋服を着ても、すぐに学校に行かないといけないかなって」


 こんなところで会うなら、洋服でも着てくるべきだった。