隣の先輩

 折角泣きそうになるのを我慢していたのに、そういうことを言われたら、もっと泣きたくなってしまう。


「家に着いたら依田から電話がかかってきて。今からなら真由に会えるって言われたから、迎えに来た」


 そのとき、愛理と咲の言葉の理由に気づいた。


 きっと佳織さんから聞いていたんだろう。


 別れた後、先輩に電話をしてくれたのかな。


 私は先輩に対して笑顔を浮べていた。


 先輩の手が私の手に触れ、私が持っていたネックレスを取り上げた。


 その手が私の首筋に当てられる。


「学校に持っていくなって言ったのに」


 先輩は呆れたような笑みを浮べている。


 その言葉とともに、首筋に冷たい感覚が伝わっていく。


「夏休みだから平気かなって思って」


 先輩の手が私の首から離れると、首にわずかな重みを感じていた。


 念のため、宝石部分は制服の下に入れていく。ひんやりとしたけど、嫌な冷たさじゃなかった。むしろ嬉しい気持ちでいっぱいになる。


セーラー服ってこういうとき目立たないので便利な気がする。


「帰ろうか」


 その言葉にうなずく。


 私の持っていた鞄を取り上げると、あまった手を私に差し出してくれた。