隣の先輩

 恥ずかしいのか、ちょっと荒っぽい口調に変わる。


 そんなちょっとした台詞も、私の心の中の寂しさを包み込んでくれた。


 そして、先輩の誕生日を知りたがった日々を思い起こさせた。


 私は誕生日プレゼントにもらったそれをもう一度掲げる。


 それは太陽の強い日差しにも負けない強い輝きを帯びていた。


 そこまで寂しい気持ちにならなかったもう一つの理由。


 今まで知ることのなかったことを知れたから。


 そこに私に対する先輩の気持ちがあったことを今更ながらに気づいたからだった。


「お前、やっぱりそれを持ち歩いているんだ」


 呆れたような声が電話の向こうから聞こえてきた。



「それって何のこと?」


 先輩の台詞を不思議に思い、先輩からもらったネックレスにもう一度目を向けたときだった。


 その品の向こうに人の姿を見つけていた。



 私は電話の向こうの彼に話しかけることを忘れ、目の前の人をただ眺めていた。


 彼が誰なのか認識すると同時に、心臓が高鳴っていく。そして、自然と言葉が零れていた。