「依田から聞いたよ。西原先輩とつきあうようになったって。本人が言うか言わないか迷っているだろうから、一応知らせておくってさ」

「どうして愛理が?」


 私は愛理に森谷君から告白されたことは一言も言っていない。


 すぐに断ったし、そういうことを人に言うのは気が引けたからだ。


「ずっと前に依田から安岡のことが好きなのかって聞かれて俺が言ったんだよ。依田にじっと見られると、威圧感があるというか、嘘がつけないから」


 彼は肩をすくめる。


 おどけたように言う森谷君の言葉に笑ってしまっていた。


 他の人にも知らないところで気を遣わせていたんだなって思う。


「よかったな。西原先輩もさ、素直じゃないから、どうなることかと思ったけど。先輩が安岡のことが好きって見ていたら分かったから」

「そうなの?」


 森谷君はうなずいていた。


「本人に直接聞いたときは、否定していたけどね。だから、確証がなかったけど。依田や依田先輩もそう思っていたみたいだけどね。本人はやっぱり否定していたみたいだけど」


「依田先輩に対してもなんだ」


 少し意外な気がした。宮脇先輩の話だと依田先輩には本当のことを言いそうな気がしたからだ。


 たまたまなんだろうか。


 私たちはそんな会話をしながら、学校に入る。学校の中庭では二年生のクラスが発表になっていた。



 その人だかりから少し離れたところでクラスを確認する。


 先に声を出したのは森谷君だった。