隣の先輩


 私は友達に先輩とのことを伝えておいた。愛理も咲もよろこんでくれた。そして、最後に宮脇先輩の携帯の番号を見る。


 私は今まであまり使うことのなかった、彼女の携帯のボタンを押していた。




「真由ちゃん?」


 明るい宮脇先輩の声が聞こえてきた。


 先輩を好きな彼女にこのことを伝えるのは正しいことか分からない。


 でも、彼女の言ってくれた気持ちに嘘がなかったとしたら、私から伝えたかった。


 私は今日のことを先輩に話した。


「おめでとう。よかったね。やっぱり稜は真由ちゃんのことが好きだったんだね」


 すぐに宮脇先輩の声が聞こえてくる。その声ははしゃいでいるみたいに元気なもので、少しほっとしていた。


 先輩はやっぱり素敵な人だった。


 自分一人の力じゃ好きと伝えられなかったし、それどころか先輩と仲良くなることさえできなかった。この恋も始まらなかったかもしれない。


 依田先輩や、愛理や咲、森谷君。一応、裕樹も入れておく。そして、先輩のことをずっと好きだった宮脇先輩。みんながいてくれたから、今の想いがあって、この結果があるんだ、と分かった。


「春休みは無理っぽいけど、夏休みに帰ってくるから、たまには遊んでね」


 そう宮脇先輩は明るい言葉で締めくくる。彼女は男だけになる家族が外食三昧にならないように、弟に料理を教えているらしく、あまり時間が取れないらしい。


 私は返事をすると、電話を切る。そして、通話時間の表示された液晶に「ありがとう」と告げた。