隣の先輩

 二回目に入る先輩の部屋。


 部屋の中はすっきりしているというよりは物がほとんどないといった感じだった。


 ベッドに机、本棚とコンポがあったけど、棚の中はほとんどがらがらで先輩がもう引っ越してしまうんだということを伝えてくれていた。夏場とはほとんど違う。


「ベッドは後から送るんですか?」


「向こうで買うつもり。帰省はするし、そのときに寝る場所がなくなっても困るからね」


 もうここで先輩が生活することはないんだ。


「お前がここに入るのって二度目なんだよな」

「夏に先輩を起こしに入って以来です」


 そのとき曇っていた空から光が差し込んでくるのに気付いた。


「休みがあったら戻ってくるよ。数ヶ月に一度しか会えないと思うけど」


 どんなに気持ちが通じて幸せでも、そのタイムリミットはやってくる。


 もう先輩の隣にいられる期限は過ぎようとしていた。


 本当なら不安で寂しくて泣いていたかもしれない。


 行かないでと、先輩に泣きついたかもしれない。


 でも、私は先輩とのことを思い出し、唇をきゅっと結んだ。


 寂しくないと言ったら嘘になる。思いが通じたから傍にいたいと思う気持ちも分からなくはない。


 私を笑顔でいさせてくれようとした日々はどんなに過去のことでもすぐに私の脳裏に蘇る。


 そこには私を思ってくれる先輩の気持ちがあった。