隣の先輩

 私一人に状況説明をさせたバツ。


 そう思うと、先輩を見てニッと笑う。


 先輩は嫌な予感を感じたのか、顔を引きつらせていた。


 先輩が何かを言う前に、私は和葉さんに話しかける。


「和葉さん、先輩が隠したのはこれですよ」


 私は自分に渡された写真を和葉さんに差し出す。彼女はすぐに受け取っていた。


「ちょっ」


 先輩が私を止める声が聞こえたけど、無視した。


 和葉さんがその写真を受け取る。そして、彼女は笑い出してしまった。


「何、この写真。自分から真由ちゃんの肩に手を置いているくせに、顔を背けて。見ているこっちが恥ずかしいわ」


「今日、渡すんじゃなかった」


 先輩がそう呟いたのを聞き逃さなかった。


 それから和葉さんは私たちに気遣ったのか、買い物袋を置いて出て行ってしまった。


 先輩は不機嫌そうな顔をして黙ってしまった。


「そんなに怒らないでくださいよ」


 私がそう言ってもやっぱり先輩はむすっとしている。


 いつも先輩は余裕綽々で、私をからかっていたのに、そんな反応を示す先輩はすごくかわいいなと思う。


 本当はもっと先輩をからかいたかったけど、私たちに残された時間はもう長くないって分かっている。


 だから、唇をきゅっと結ぶと先輩を見た。


「先輩」