「稜のどこがいいの?」
和葉さんはお茶を入れながらそんなことを聞いていた。
ティーカップの中には金色に近い液体が注がれていて、白い湯気が溢れている。
私はほのかに甘く優しい香りを漂わせる、カモミールティーを見ながら、口を噤む。
でも、リラックスをさせてくれるはずのそのお茶の香りは今の私には効果がなかったみたいで、心臓がドキドキし、落ち着かなかった。
「いろいろと」
やっとそう応える。
「まあ、嫌になったら別れたほうがいいと思うわよ。私は咎めないから」
「自分の息子なのに酷い言いようだと思うけど」
先輩は一足先に和葉さんの入れてくれたカモミールティーを飲んでいた。
口一つつけられない私に比べると、そんなことを言いながらも余裕なんだろう。
そのとき和葉さんの目がダイニングテーブルのところで止まる。
「あれは何?」
立ち上がって和葉さんが近寄ろうとする一足前に先輩がテーブル前でかけつけ、テーブルの上にあった写真をひったくるように奪っていた。
「怪しい。親に見せられないようなものなの?」
彼女はそんなことをされたのが心外だったのか、不満そうな言葉を漏らす。
あそこに置いてあるのは愛理が渡した写真。そのうちの一枚は私の手元にある。
私はさっきの復讐をしてあげたい気分になってきた。



