隣の先輩

「稜、あなた女の子になんてことを」


 そう言うと和葉さんが近寄ってきた。


 そして私と先輩の間に割って入る。


「真由ちゃん、泣いているじゃない。あなた、何したの?」


 和葉さんが先輩を睨んだとき、和葉さんが勘違いをしているのだと気づいた。


「これは違うんです」


 私は慌てて弁解する。


 一方の先輩は苦笑いを浮かべている。


「いいのよ。庇わなくて。ひどいことをされたんでしょう」


「だから嬉しくて泣いていたんです」


 そのとき和葉さんの動きがとまる。彼女はじっと私を見ていた。


「え?」


 彼女は理解しがたいんだろう。怪訝そうな顔を浮かべて私を見ていた。


 私が状況説明をしないといけないのかな。


 和葉さんは先輩のお母さんなのに。


 私は先輩に救いを求めたけど、先輩は目が合っても肩をすくめるだけだった。


 私の代わりに状況を説明するつもりはないようだった。


 和葉さんが厳しい顔をするのに気づいて、勇気を振り絞る。


「違うんです。先輩が私を好きって言ってくれたから嬉しくて」


 私はそれ以上は何もいえなかった。


「真由ちゃんは稜のことが好きなの?」


 私はうなずくしかなくなっていた。


 和葉さんは眉をひそめ、私と先輩を交互に見ていた。