隣の先輩

 私は窓の外を見ていた。



 窓の外は雲ひとつない、抜けるような青空が広がっている。


 今朝はいつもより多くの話ができた。その会話のほとんどが弟のことや先輩のひいおじいさんのことだったが、それでもうれしい。


 もっと親しくなれば、依田先輩に対して言ったような言葉を向けてくれるんだろうか。


 それは即ち、距離が縮まったということだからだ。


「バカとかお前とか言われてみたいな」


「もしかして、そういう趣味があるの?」


 そんな鋭い声が聞こえてくる。



 顔をあげると、愛理が眉をひそめ、怪訝そうな表情を浮かべていた。