隣の先輩

 先輩は私を抱きしめていた手を離す。


 私は先輩の顔を見た。


 先輩の顔はすごく赤くなっていた。


「そうですね」


 私はそんな先輩の顔を見て、笑っていた。


 先輩の指が私の目元を拭う。


「泣いている?」


 彼の問いかけに頷く。


「すごく嬉しかったから。なんだか分からないけど、涙が出てきちゃいました」

「本当、可愛いな。お前」


 その言葉にドキッとしていると、突然頬をつかまれた。


「何でつねるんですか」


「何となく」


 なんとなくでほっぺをつねる先輩って何なんだろう。


 でも、つかまれただけなので、全然痛くなかった。


 そう言った先輩の顔が真っ赤で、すごく恥ずかしそうで、胸の奥がまた締め付けられるように苦しくなってきた。


 そんな顔をされると、先輩の気持ちを暗に伝えられたみたいで、照れてきてしまった。


 玄関が開く音が聞こえた。すぐにリビングが開いていた。


 私たちは突っ立ったまま、ドアを見ていた。


 先輩の手が私から離れたのは、ドアのところに立っている人を確認した後だった。和葉さんが驚いた顔で私達を見ていたのだ。