隣の先輩

「先輩?」

「本当、鈍いよな」

「え?」

「お前とだからだよ」


 私、と……?


「卒業式の前の日に、依田から、妹のほうな、電話がかかってきてさ、放課後、お前との写真を撮ってやるって言われたんだ」

「別に無理に撮らなくてもよかったのに」


 愛理は一体何をやっているんだろう。


「無理にじゃなくて、絶対笑うなよ」


 そう言うと、先輩は私の両頬を抓ってしまった。


 笑うどころか、十分に話すことさえできないんですが。


「一緒に写りたかったんだ」


 先輩の私をつかんでいる手が少し緩くなる。


「ずっと好きだったから」


 その言葉に胸が高鳴るのが分かった。


 先輩の手が私の頬から離れる。


 それでも先輩の手の感触が頬に残っている。


「でも、失恋するとか、届かないみたいなことを言ってくるから、てっきり別の人が好きなんだって思っていた」



 その先輩の口ぶりは誰かではなく、具体的な人を指している気がした。


 だから私は問いかけていた。