結局、先輩の部屋に入ったのはあの一度だけだけど、あれもやっぱり思い出の一つだった。
先輩は私を通すと、タオルを持ってきてくれた。
私はそれで濡れた髪の毛をゆっくりと拭く。
先輩は「少し待っていて」と言い残すと、部屋に消えていく。
そして、戻ってきた先輩の手には写真が握られていた。
二枚持っていたのか、そのうち一枚をテーブルの上にひっくり返して置いていた。
「依田からもらったんだ」
名前で呼ばないから、それは愛理のこと。
私は先輩から差し出されたものを受け取る。
愛理に撮ってもらった卒業式の写真。
見た瞬間、顔が赤くなるのが分かった。
私の顔がすごく真っ赤になっていた。
一方の先輩は私を引き寄せていたのに、顔を背けている。
それを見て、思わず笑ってしまっていた。本当に写真が嫌いなんだってすぐに分かる。
「先輩ってどうしてこのとき、写真撮ってくれたんですか? 他の子のは断っていたんですよね」
見た瞬間、さっきの告白したときのドキドキとか、そんなことは忘れていて、こみあげてくる笑いを堪えるのに必死だった。
あのときは自分の緊張を抑えるのに精一杯で、ここまで無理して写真に映ってくれているとは思っていなかったからだ。
先輩の手が私の頬に伸びる。先輩の手は私の頬を抓っていた。
先輩は私を通すと、タオルを持ってきてくれた。
私はそれで濡れた髪の毛をゆっくりと拭く。
先輩は「少し待っていて」と言い残すと、部屋に消えていく。
そして、戻ってきた先輩の手には写真が握られていた。
二枚持っていたのか、そのうち一枚をテーブルの上にひっくり返して置いていた。
「依田からもらったんだ」
名前で呼ばないから、それは愛理のこと。
私は先輩から差し出されたものを受け取る。
愛理に撮ってもらった卒業式の写真。
見た瞬間、顔が赤くなるのが分かった。
私の顔がすごく真っ赤になっていた。
一方の先輩は私を引き寄せていたのに、顔を背けている。
それを見て、思わず笑ってしまっていた。本当に写真が嫌いなんだってすぐに分かる。
「先輩ってどうしてこのとき、写真撮ってくれたんですか? 他の子のは断っていたんですよね」
見た瞬間、さっきの告白したときのドキドキとか、そんなことは忘れていて、こみあげてくる笑いを堪えるのに必死だった。
あのときは自分の緊張を抑えるのに精一杯で、ここまで無理して写真に映ってくれているとは思っていなかったからだ。
先輩の手が私の頬に伸びる。先輩の手は私の頬を抓っていた。