隣の先輩

 この人たちも宮脇先輩のことを知っているんだ。


「それは誤解だから。ちなみに彼女は後輩だよ」


「怪しい」


 先輩はその人たちにからかわれていたけど、やっぱり違うと言っていた。


 私はそんなやりとりをただ見ていた。


 心に芽生えた気持ちを押さえつけて表に出さないようにした。


 この気持ちは前にも感じたことのあった。


 彼女達は何かを思い出したような素振りをしていた。


「もう行かないと。西原君、とその彼女さんもまたね」


 先輩は否定するのに疲れたのか、苦笑いを浮べていた。


 私はそんなことを言われたことにドキドキしながらも、さっきの気持ちを思い出していた。


 先輩には先輩の世界があって、その中にいろんな人がいる。


 先輩の世界には友達やクラスメイト、後輩なんかたくさんいて、私はその一部分の存在でしかない。


 当たり前なのに苦しかった。


 特別になりたかったんだって、そのとき改めて思っていた。


 好きでいてくれたら後悔しない?


 そう咲が言っていた言葉が脳裏に蘇る。