すごくいい人なんだろうなって思っていた。


「それとなくってどんな感じ?」


「好きな人って誰か聞くとか? 全然それとなくじゃないね」


 咲はそう言うと、肩をすくめていた。


「でも、それも一つの選択肢だとは思うってこと」


 咲はそう言うと、マグカップに手を伸ばしていた。


「そうだね」


 宮脇先輩の言うとおりなら、気まずくはならないんだろう。


 でも、確かに咲の言ったとおりのことを言われたら、ものすごく後悔すると思う。


 せめて先輩が好きな人が誰か分かればいいのに。


 私はそう考えると、花がプリントされたティーポットに手を伸ばしていた。