隣の先輩

 高校の残りの日程はあっという間に過ぎた。春休みに入ってから先輩と出かけることは決まっていた。


 終業式の前の日に、咲が私の家の近くのお店で買いたいものがあると言っていたのでついていくことになった。


 色んな食器や雑貨が並んでいる可愛い感じのお店だった。


 咲はマグカップが買いたいらしい。


 咲は順にマグカップを指していく。


 咲が英語の単語が印刷されたマグカップの前で手を止めたときだった。


「先輩は元気?」


 そう咲は問いかける。


「元気みたい。引越しの準備とかあるみたいだけど」



 時々、ベランダに先輩がいるときは話を聞いたりできる。でも、本当にそれだけだった。


 先輩との約束は楽しみだけど、それが終わったら私と先輩の間には何もなくてもおかしくないから。


「先輩はおじいちゃんの家に住むんだっけ?」


「そうらしいよ」


 私はそこで息を吐く。


「一つ、聞いていい?」

「何?」


 私の問いかけに咲は首をかしげる。


「咲は好きな人に告白しないと後悔するとか思わないの? 私がそんなことを言う権利はないのかもしれないけど」



 そう言ったのは、ずっと宮脇先輩の言葉が気になっていたからだった。


 そして、先輩が好きな人に告白しないと言っていたのもあったのかもしれない。