隣の先輩

 ただ、その誰かが羨ましかった。


「その人の恋人になりたくないの?」


「なれるならなりたいけど。お前も俺のことばっかり気にしないで、自分のことでも考えていろよ。どうせ告白さえできてないんだろうし」


「先輩だってしていないじゃないですか」


「俺はいいんだよ。別に」


 そのとき、先輩の携帯が鳴っていた。先輩は携帯にちらっと目を向ける。


 そのメールを見て、ため息を吐いていた。


「どうかしましたか?」


 先輩の手が私の頭に触れる。


「お前も難儀だなって思ってさ」


 先輩に届いたメールと、私に何の関係があるんだろう。


「誰からメールだったんですか?」


「ちょっとね。帰ろうか」


 そう言うと、先輩は止めていた足を動かしだす。


 私はその後を追っていた。


「今日、学校に来るとは思わなかったよ。よく休みの日に来るな」


 先輩の制服姿が見たかったからというのが一番の理由だった。



 でも、そんなことは言えずに、口を噤む。


「気が向いたから」



 先輩はそんな私の言葉を聞いて、笑っていた。