隣の先輩

 でも、あの雪の日のような寂しさはなかった。


 今の時間が幸せで、長く続いてほしいと思っていたからだ。


 昇降口を出ると、校舎の中よりはちらほら人影を見つける。


 その中で、女の子が少し背の高い男の人に話しかけている姿を見つけた。


 二人の様子を見て、告白しているんだ、とすぐに分かる。


 それで思い出したのが、先輩の好きな人の話。


 先輩を見てもいつものまま何も変わった様子もない。


 歩いていく先輩の後を追っていたが、学校の外に出たとき、先輩を呼び止めていた。


「あのっ」


 先輩が振り返る。


 そして、不思議そうな顔で私を見ていた。


 先輩は好きな人に告白したのかな。


 同じ学校の人なら、今日が実質的に最後になるはずだから、そう考えていたのかもしれない。


「先輩は好きな人に告白しないの?」


 先輩は目を細めて笑う。


「しないよ」

「どうして?」

「別にいいって思えたから」


 そう言うと、先輩は目を細めて、すごく優しい表情を浮べていた。


 その相手がずっと宮脇先輩だと思っていた。


 でも、違っていた。誰が先輩をそんなに優しい表情にさせるんだろう。